あの人は「ズルい」と思ってしまうとき。
お金もらえてズルい。
勉強できてズルい。
愛されてズルい。
自分にないものを、相手が持っている。
不公平だ!
おかしい!
自分も、同じ物が欲しい!
ズルいって、そういう気持ちだよ。
相手は本当にズルいのかな。
悪いことをしてお金もうけしたり、
テストでカンニングしたり、
愛してもらえるように、だましているのかな。
もしかして。
相手は正しい努力をして、それを手に入れたのかもしれない。
お金や成績は、人よりたくさん仕事したり勉強した結果かもしれないし、
愛されるように努力したから愛されているのかもしれない。
不公平だけど、相手のせいじゃないって場合もある。
たとえば。
いい家に生まれてズルい。
でも、どんな家に生まれるかは、誰も選べない。
それでも、ズルい! って思うよな。
怒りがわいてくるのは、
自分が、損していると思うから。
本当なら、自分も持つことができたはずなのに。
自分はない。
相手は持ってる。
ズルい! その底には、うらやましいと、ねたむ気持ちがある。
とても根深い、強い気持ちだ。
こんな話がある。
キュウリ好きなサルがいた。
あるとき、
別なサルが、甘いブドウをもらってるのを見て、怒ってキュウリを投げすてた。
実はキュウリよりブドウのほうが好きだったんだね。
でもそれまではキュウリをおいしく食べていたんだよ。
ズルいっていう気持ちは相手も傷つけるし、自分自身も傷つける。結果的に自分も損してしまう。
どうすればいいと思う?
方法はひとつしかない。
ブドウを食べているサルを見ないことだ。
相手が目に見えなくなるまで、離れる。
自分は自分。人は人。
ズルいと思う相手が、家族や兄弟だったりして、離れることがむずかしい場合もある。
そういうときも、一緒にいる時間をへらしたりして、できるだけ離れよう。
どうしても離れられないならば、もういっそ、心を中から焼きつくそうとする気持ちを、何かをつくり出す原動力にするのがいい。
小説や、詩や音楽。
創作の原動力は、強烈な感情だ。
ズルい!
ズルい!
こっちにもよこせ!
この気持ちは、最強の燃料になる。
ズルい、と思ってしまうとき。
まずは、本当に相手が悪いのか、よく考えてみよう。
そして、相手が見えないところまで離れる。
それがむずかしいときは、何か作品を作る。
ズルいという気持ちが、芸術や文化を進化させてきたのかもしれないよ。