世の中には、人を傷つける言葉が飛び交っている。
悪口、陰口、イヤミ、意地悪、誹謗中傷……。
リアルでも、ネットでもSNSでも。
ナイフのように鋭い言葉が心を傷つける。
でも、心が傷つくってどういうことだろう。
心は見えないから、分かりにくい。
心の傷は、身体の傷と一緒なんだよ。
陰口に、心がけずられてすり傷になる。
言葉というナイフで刺せば、心は傷ついて血が出る。
暴言という棒で叩けば、心の中の骨が折れる。
身体の傷と同じように、心の傷も痛い。つらい。すぐには治らない。
傷つかないための方法も、身体と一緒だ。
1つ目は、皮膚を丈夫にすること。
赤ちゃんの肌は弱くて、ちょっとこすれただけで傷ついてしまうけれど、大人の肌は強い。中でも1番丈夫な肌は、どこか知ってるかい?
かかとだよ。
こすれてふんで、何度も何度も刺激されて、皮膚が厚く強くなったんだよ。
逆に、服にまもられているお腹の肌は弱いままだ。
外に出て、刺激を受ける。
いろんな人に会って、たくさん話をすれば心がチクッと傷つくこともあるだろう。それでも外に出て行く。人と会う。言葉をかわす。
そのくり返しで心の皮膚は強くなる。
それを「つらの皮が厚くなる」っていうんだよ。
ちょっとやそっとじゃ、傷つかなくなる。
2つ目は、骨を丈夫にすること。
いくら皮膚が強くても、強く叩かれたら骨が折れてしまう。
骨を強くするには、栄養を取って、骨を育てるんだ。
心の骨を強くするのも同じだよ。
心の栄養になる、本を読んだり、映画を見たりする。
恋するのもいい。ペットを可愛がるのもいい。
愛し、愛されることで、心は豊かに育つ。
豊かに育った心は、しなやかで強い。
折れない心になる。
そして3つ目。
これは今すぐできる。
刺されたり叩かれそうになったら、どうする?
逃げるよな。
そう。逃げる。
きみを傷つけるような言葉からは逃げよう。
傷つける環境からは離れよう。
傷つかないために、1番効果的で今すぐできる方法だよ。
できれば3つともぜんぶ、やってみてほしい。
逃げながら、心の皮膚を厚く、心の骨を強く育てる。
そうすれば、言葉に傷つかなくなる。
そして本当に強い心を持つ人になれたとき。
言葉に傷ついている人を、守ってあげられたらいいな。
きみは、言葉に傷つくつらさを誰よりわかっているはずだから。