誰かを元気づけたいと思うとき。
はげましたいと思うとき。
落ちこんでいるその人に。
悲しんでいる人に。何かいい言葉をかけたいと思う。
心に響く言葉。
魔法のように元気づける言葉。
話すことで、笑顔になって、歩き出していけるような。
でもそんなときほど、何も言葉が出てこない。
そういうときは、ただ「ああ」とか「うう」「むむ」とか言っていればいいんだよ。
思わず、口からこぼれてしまう、言葉にならない音。
それこそが、そのままの心の音だ。
その人を想う気持ち。はげましたい、力づけたい、でも何もできない自分のそのまま。
カッコイイ言葉や、綺麗な言葉が言えなくてもいい。
そのままの音は言葉よりも強い。
でも、ひとつだけ注意が必要だ。
そのままの音は、そのままの心が出てしまう。
何も隠せない。
かわいそうだな、という上から目線。
ズルいなという気持ち。
面倒だな、という思い。
ネガティブな気持ちも、そのままの音にはすべて出てしまう。
まるはだかで、相手の前に立っているようなものなんだ。
でもそれが、相手に対する最大限の、誠実さとも言える。
もしもちょっとだけネガティブな気持ちがあっても。
人間だから、そういうこともある。
何も隠さないそのままの自分。
口からこぼれてしまう音は、どんな言葉よりも、強く相手に届く。
言葉にならないからこそ、伝わる。
ただ、そばにいよう。
落ちこんでいる、悲しんでいる、その人のすぐそばに。