うつ状態の人には、「がんばって」と言わないほうがいい。
「これ以上もうがんばれない」と、心折れてしまうかもしれないから。
はげまし、力づけたいとき、なんと言えばいいんだろうか。
どんな言葉が、ふさわしいのだろうか。
いろんなハラスメントでも、言葉選びが問題になることがある。
たとえば相手をほめるつもりの、「美しい」という言葉が、セクハラとなる場合がある。
そのつもりがなくても、言葉が相手を傷つけてしまうことがある。
どんな言葉も、人を傷つけてしまう可能性がある。
だったら、何も言わないほうがいいのだろうか。
何も言わなければ、傷つけることもないけれど、はげまし、力づけることもできない。
人と人の関係には、ただひとつの正解はない。
同じ「がんばって」という言葉が、誰かにとっては苦痛で、はげましになる場合もある。
マニュアルはない。
その一回一回ごとに、その相手のひとりひとりに、全身で、全力で、生身で、向き合うしかない。
傷つけてしまうかもしれない。
傷つけられるかもしれない。
誰かと真剣に向き合って発する言葉には、強い力がやどる。
言葉は武器で、言葉は万能薬だ。
正解はない。
誰もが間違う。
間違うことをおそれるな!
間違いながら、言葉は磨かれてゆくんだ。