不登校だった橘亜月さん(翻訳家)の体験・その2

不登校パワー「あいあぽろざいじゅーさー・その2」

橘 亜月

そんなある日、私たち家族は大きなホテルに一泊することになりました。
その夜、私は一人でガラス天井が売りのプールに入りました。星を見ながら背泳ぎして、優雅な気分を味わった後、着替えをするため更衣室に入りました。ところがそこが男子用更衣室で、外国人の男性が一人いて、私を見て声を荒げました。
「This is a men’s room! This is a men’s room!」
裸を見られて恥ずかしかったのか、男性はたいそう怒っておられました。それに対し、私は、ヒッチコック映画で部下が上司に謝る時に使っていた言葉を使ったんです。
「あいあぽろざいじゅーさー!」
意味なんて、わかっちゃいません。単語のつづりも知りません。
でも男性の目は驚きに開かれ、「アイムソーリー」でも「エクスキューズミー」でもなく「I apologize you, sir!(申し訳ありません、閣下!)」と謝った私を笑って許してくれたのです。

その後着替えを終えると、何と男性もエレベーターを待っていました。男性は私を見て嬉しそうに話しかけてくれて、私も必死に返しました。その時が外国人と話をした初めての経験で、自分が英語で話ができると知ったのです。

そして私は今、英語を使った仕事をしています。頭が一番柔らかく、時間がたっぷりあったあの時期、意味が分かるようになるまで字幕のない映画を観まくった結果です。

今、学校に行けない貴方。今の貴方は人生で一番頭が良く、時間もたっぷりあります。何かをマスターするのに大きなチャンスなんです。
どうか今という時間を無駄にしないでください。学校に行かない時間をどう使うかで、生きる上で大きな宝物を得ることができるんです。

私に冷たくした数学教師を見返すため、参考書をベッドまで持ち込んで読みふけり、不登校前より成績が上がったのは、また、別の話。

終わり

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この記事を書いた人

「フリースクールの先生をしてる、マナコだ!
28歳! 独身! 男!
言いたいことはひとつだけだ!
オレの生徒は、死なせない!
なにがあっても! 絶対に!
君ももちろん、オレの大事な生徒だ!」

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